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外壁塗装? 張替え? トタン外壁や屋根のメンテナンス
現在ではちょっと懐かしい響きがする「トタン」、古くから様々な場所に使われてきた建築資材で、屋根材や外壁材にも多く使われてきました。見かけることは少なくなったものの、探せば現在でも多数の建物に使われていますが、さすがに古くなり、その多くは塗装や張替えなどのメンテナンスが必要な状態です。古くなったトタン外壁の最適なメンテナンス方法をご紹介します。
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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塗装? 張替え? 古くなったトタンの最適なメンテナンス方法をご紹介
まず最初に「トタンとは」
トタンというと金属の鋼板ということは皆様、ご存知だと思います。そして、何となく「錆びやすい」というイメージをお持ちだと思います。
トタンは錆びにくくするために亜鉛でめっきされた鋼板で、実は普通の鋼板よりは錆びにくいものなのです。「錆びやすい」というイメージはメンテナンスを怠っている建物が多いからなのでしょう。同じめっき鋼板であるガルバリウムの先祖にあたるものと言えば、それなりに錆に強いことは分かってもらえると思います。1911年に国産されるようになり、現在まで100年以上に渡って用いられている建材ですから、さまざまなメリットがあるものなのです。
トタンのメリット・デメリット
●安くて軽い
●しっかりとメンテナンスをすれば耐用年数も長い
トタンは一般的な鋼板(鉄の板)を薄く加工し、亜鉛でめっき処理したものです。下地の一般的な鋼板も、めっき成分も比較的安価なものです。
また、薄く加工されていますから、軽いという利点もあります。めっき成分の減少すると錆が進行しますから、めっき成分を減少させないようなメンテナンスが必要になります。
めっき成分の減少は水分に触れることよって起こりますから、塗装によって保護します。立地や環境にもよりますが、こまめにしっかりとメンテナンスすれば15~20年の耐用年数があるとも言われています。
「錆びやすい」と感じてしまうのは何か問題が起こらないうちはついついメンテナンスを忘れてしまうからです。
●加工跡や傷から錆が拡がりやすい
●夏、暑い
外壁や屋根にトタンを設置する際、切削や加工が必要になります。切断面はめっき層もなく鋼板が剥き出しですから、どうしてもそこから錆びやすくなります。
また、屋根材や外壁材用に加工されたカラー鋼板などは外気に触れる表側の部分には塗装を複数回施してありますが、裏側は1回塗りというものも珍しくありません。内部に結露が生じる場合、裏側から錆びてきていたなんてこともありえます。
鋼板は非常に熱伝導率が高い資材で、太陽光を浴びるとすぐに温度が上がります。夏になると表面温度が80℃前後にも達し、これが直に伝わってくるから暑いのです。
最近は便利な時代になりました。トタン外壁やトタン屋根を塗装する際に遮熱塗料を使えば、表面温度で約20℃低下させ、室温では最大で4℃近く低下させます。屋根葺き替えや屋根カバー工法を行う場合は遮熱機能を持った防水紙を使うことで暑さ対策をすることも可能です。
トタン外壁の建物の現状
建てられてから数十年が経過した建物多数、
傷み次第では塗装ではなく張替えを
1970年代中頃から1990年頃にかけてトタン外壁が爆発的に普及した時がありました。
その時期はちょうどプリント鋼板(カラー鋼板)が出回りはじめた時期で、デザイン性も高く、トタンに見えないことが受けたようです。当時の外壁の主流であったモルタルに比べれば、工期も短く、お値段もお安めでした。また、モルタルのようにクラックが入らないということも支持された理由のひとつのようです。
1990年頃に建てられた建物であっても、すでに30年以上が経過しております。環境や立地にもよりますが、一般的にトタンの寿命は15~20年程度だといわれています。現在、トタンの外壁や屋根が健全であっても、おそらく塗り替えは今回で最後になるでしょう。
今後のことを考えた場合、外壁は張替え、屋根は屋根カバーか屋根葺き替えを選択した方が後々、コストがかからないのかも知れません。
傷がついている、変形している
トタンの鋼板の厚さにもよるのですが、基本的には薄いので、飛来物などがあると変形したり、傷ついてしまいます。傷つくと、そこから錆が発生しますので、定期的に点検するほか、強風後も点検してあげましょう。
☑傷がついている場合は塗装で保護
☑変形がひどい場合はその部分を張替え
錆が出ている
トタンは亜鉛めっきの力である程度、錆を防止してくれますが、万能ではありません。亜鉛めっきは錆を防止した分だけ、消費されます。消費された亜鉛めっきは勝手に回復はしませんし、補充もできません。サビが出てきたら、拡がらないうちに保護してあげなければなりません。錆を落として塗装してあげる必要があります。
☑錆をケレンでしっかりと落としてから塗装
穴があいている
張替えの時期に来ています。穴が開いているのが一部であるならば、部分的に交換することも可能です。交換や張替えをするのであれば、ほぼ同額でありながら、トタンよりも錆に強いガルバリウム鋼板をお薦めします。
☑数ミリ程度の穴でしたら、錆を撤去し、シーリングなどで塞ぐことも可能ですが、基本的には張替えをお勧めします
外壁塗装・屋根塗装
トタン外壁や屋根が比較的健全な状態であるときに行うメンテナンスです。
錆が出てからではなく、その前に塗ることでトタンを長持ちさせてくれます。
少々、表面に錆が出ていても問題ありませんが、「穴が開いている」、「錆で端が崩れている」場合は塗装が不可能です。
外壁も、屋根も、いずれも鋼板は薄いので、表面的な錆にしか見えなくても、貫通していることが少なくありません。
その場合、塗装してもすぐに穴が拡がり、雨漏りに繋がりますので、外壁は張り替え、屋根は屋根カバー工法か屋根葺き替えをお薦めします。
トタン外壁やトタン屋根を長持ちさせるには錆が出始めてきたから塗装するのではなく、その前に塗り替えしてしまうのが理想です。どんな場合でも、下塗りには錆止め塗料を必ず使います。
外壁の張替え
錆により穴が空いてしまっている、変形してしまっている際に行うメンテナンス。
錆びて劣化した既存のトタンを剥がし、真新しい外壁材に張り替える方法です。
世間では窯業系サイディングを進める業者もいますが、街の外壁塗装やさんでは金属系サイディングかガルバリウムのプリント鋼板などへの張替えをお薦めします。理由は窯業系サイディングにした場合、重量が嵩んでしまうからです。
窯業系サイディングの1㎡あたりの重さは約17.3kg(16mm厚の場合)です。金属系サイディングでは3.6~5.0kgになります。ガルバリウムのプリント鋼板などは3.4~4.2kg程度です。
お家の重さは耐震性に大きく影響します。お家を支える柱や耐力壁はお家の重さに合わせて設計されています。外壁の重さが約5倍になった場合のことなど、想定して設計していることなどまずありません。外壁の面積が100㎡とした場合、1.4tも増加することになります。乗用車1台分増えた重さ、窯業系サイディングを薦めてきた業者はどうやって補償するのでしょうか。
外壁カバー工法はほぼ不可能
トタンをはじめ、傷んだ金属外壁に外壁カバー工法をするのはほぼ不可能です。前述の通り、外壁の重量の関係でこれまでトタン外壁だった場合は金属の外壁材しか選べません。
金属にはその金属が健全であっても、雨水によって流されてきた錆、風で飛んできた錆が付着すると急速に錆が広がっていく「もらい錆」という現象があります。
ケレンでいくら錆を落としても、どこに残っているリスクはあり、それが外壁に付着したら、急速に錆が広がっていく可能性もあるのです。
「トタン屋根は屋根カバー工法できるのに何故、外壁はできないの」とお思いの方もいるでしょう。トタン屋根は新しい金属屋根材を被せる前に、屋根全体を防水紙で覆ってしまいます。したがって、これまでの屋根からのもらい錆のリスクは最小限になります。
また、ガルバニック腐食の問題もあります。ガルバニック腐食とは違う金属と金属同士が接触した場合に起こる現象で、ここに水分などがあると電気の流れが生じることがあります。この現象をうまく利用しているのが電池です。電気の流れが生じると金属のイオンのバランスが崩れ、腐食していきます。金属の腐食イコール錆ですから、こちらも避けなければなりません。
金属系サイディングにはガルバリウムの他、アルミやステンレスもありますが、これらが他の金属と接触した場合、どのような変化が起こるかは予想ができるのですが、実際の建物で長期観測したデータはないのです。現実的にはこういったことが起こらないよう、めっきや塗装がされているわけですが、接触しないのが一番であることは間違いありません。建物に使われる釘やビスなどはガルバニック腐食が起こらないようラスパート処理(めっき処理)などがされています。
いずれにせよ、トタン外壁は外壁カバー工法ではなく、外壁の張り替えを選ばなくてはなりません。
トタンの種類
お馴染みの波板からさまざまな模様がプリントされたトタンに見えない
プリント鋼板までさまざまなものがあります
トタンというと薄い金属製の波板が思い出されますが、実は歴史が長いだけにさまざまなものが存在します。
また、現在でも生産されており、様々な模様が焼付け塗装されたプリント鋼板やエンボス加工されたものは高級感が漂うほどです。従来のトタンのイメージを覆すものも多数存在します。
プリント鋼板(カラー鋼板)
亜鉛めっきの上に模様を印刷し、その上からクリア塗装したもの。単色のものから、木目やクロス調などさまざまな模様があり、一時期、戸建て住宅の外壁に盛んに用いられた。印刷技術と塗装技術の革新によって従来のトタンのイメージを覆した製品でもある。
私事で恐縮だが、リフォーム前の実家の外壁は木目のプリント鋼板だった。塗装技術の躍進によって耐用年数も長くなった。意匠性を高めるためにエンボス加工し、凸凹を設けたものもある。
トタン板
コイル状のトタンを現場に持ち込み、加工し、屋根材として葺いたもの。瓦棒と呼ばれる屋根で、重量が軽く、耐震性も高い。錆を防ぐために結構な頻度で屋根塗装が必要である。
屋根は建物で最も過酷な環境にさらされるところなので、数十年後には屋根カバー工法や屋根葺き替えが必要となる。
トタン大波(波板1号)
何故か見かけることが少ない大きい波型のトタン板。小波のものと区別するために波板1号と呼ばれることもある。
1波の大きさが76.2mmで波の高さが18mmのもの。トタン波板の鋼板の厚さはさまざまなものがあるが、いずれも薄く、強度が不足しているため、曲がりや凹みを避けるためにアーチ(波型)が取り入れられている。
トタン小波(波板2号)
よく見かけるトタン波板と言えば、こちらの小さい波型のトタン小波で波板2号と呼ばれることもある。
1波の大きさが31.8mmで波の高さが9mmのもの。トタン大波よりも面積あたりの波の数が多く、その間隔も狭いため、こちらの方が強度が高く、その分、トタン波板の鋼板の厚さを薄くできる。外壁の他、屋根などにも用いられる。
番外編 ガルバリウム鋼板製のトタン小波(波板2号)
幅や高さ、1波の大きさや高さや形状、間隔は全く変わらないものの、実はトタンではなく、ガルバリウム鋼板が使われているというもの。
アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板であるガルバリウム鋼板は錆に強く、トタンの3倍の耐久性があると言われている。トタンよりもほんの少し軽いだけで、見た目で判断することはほぼ不可能。しかも、値段もほぼ同じ。
トタンは亜鉛でめっきした鋼板です
安くて軽く錆にも以外と強いのがメリット
メンテナンスを怠ったり、加工跡から錆びやすいのがデメリット
トタンはお馴染みの波板の他、意匠性の高いプリント鋼板なども存在します
トタンにしか見えないガルバリウム鋼板もあります
トタン外壁やトタン屋根の建物はメンテナンスが必要な建物がほとんどです
トタン外壁やトタン屋根のメンテナンスは塗装か張替え、屋根葺き替えか屋根カバー工法
トタン外壁の張り替えは耐震性を考えて軽い金属の外壁材をお選びください
トタン外壁の外壁カバー工法はもらい錆の問題があるのでほぼ不可能です
トタン外壁や屋根のメンテナンス、実際の施工例
ガレージ兼事務所のトタン屋根とトタン外壁をガルバリウムに張替え
DIYでご自身によってガレージ兼事務所の外壁を作り上げたというO様、最近はトタンの劣化が目立つため、ガルバリウムへの張替えを検討しているということでした。屋根はトタン葺きで、外壁はブロック塀とトタンという建物でした。
点検の様子
ガレージ兼事務所ということですが、現在は事務所としての使用が主体とのことでした。耐震性を考慮したようで、外壁の上から3分の1はトタンが使われています。屋根に錆が出ていますが、雨漏りなどはしていないようです。
屋根の張替え
この建物の屋根、途中で継ぎ足されたようです。どのような経緯でこのようなことになったのかは謎ですが、これはやらない方がいい施工です。古い屋根の錆が新しい屋根に流れていきますので、寿命が短くなってしまいます。
ブロックの外壁に窓が設けられています。今回はブロックとトタンのツートンではなく、すべてをガルバリウムに張り替えます。
トタン屋根の張替え
ガレージと聞いていたので、もっと簡易的な建物かと思っていましたが、しっかりと断熱材も入っています。雨水が浸入した形跡もなく、綺麗なものです。野地板を張り、屋根を補強します。
防水紙を敷き、その上にガルバリウムの波板をビス止めしていきます。これで屋根は完成です。これまでよりも錆に強く、雨漏りにも強い屋根に刷新されました。
トタン外壁の張替え
トタン外壁を剥がしてみますと、その下は木材で骨組みが作られていました。変色はあるものの、腐食は見られません。こちらにも断熱材がしっかりと用いられていました。結構、本格的な造りです。
ブロック塀の部分には外壁カバー工法を用います。ブロックに下地に胴縁を取り付けて、ガルバリウムの外壁材を貼れるようにします。
透湿防水シートのKMEWウォーターガードを取り付けます。これで内部に湿気も溜まりにくくなりました。外壁材はIGサイディングのガルスパンを使用しまた。こちらは外壁材と断熱材が一体化した製品でなので、さらに快適な室温になるでしょう。
竣工
これを見て、以前はブロック塀の外壁だったということを誰が想像できるでしょうか。断熱材と一体化した外壁材で覆ったため、以前より断熱性も上がったと思います。事務所としてもより快適なったのではないでしょうか。これで20年以上は安心です。
倉庫のトタン屋根とトタン外壁、トタン内壁の塗装
お客様から倉庫2棟の塗装をご依頼いただきました。1棟は平屋でトタン屋根にトタン外壁、もう1棟は2階建てで瓦屋根にトタン外壁です。築45年ということですが、メンテナンスをしっかりと行ってきたらしく、まだまだ現役という建物です。今回の外壁塗装と屋根塗装で、ますます元気になってもらいたいと思います。
点検の様子 トタン屋根にトタン外壁の平屋
外壁の色褪せが進み、大分、色が薄くなっているのが分かります。チョーキング現象(白亜化)も発生しています。屋根も色褪せが進んでいるほか、若干の錆が見られました。
点検の様子 瓦屋根にトタン外壁の2階建て
瓦屋根にトタン外壁の2階建ての倉庫は物が溢れかえっていました。いい機会ですので、お施主様は思い切って不用品を処分することにしたそうです。
注目して欲しいのが軒の鼻隠しの部分です。実はこの倉庫、鉄骨造りでした。鉄骨を四角に組んで、その真ん中に総二階の建物を入れたような感じの造りです。
足場の仮設
トタン屋根にトタン外壁の平屋と瓦屋根にトタン外壁の2階建ては隣接しているので、その周囲を囲むように足場を仮設します。地面の白い部分は雪です。足場の仮設と降雪が重なったので、ちょっと苦労しました。
高圧洗浄
瓦屋根にトタン外壁の2階建て、この画像では鉄骨造りということがハッキリと分かります。鉄骨に軽量のトタン外壁ですから、強風にも地震にも相当、強いと思われます。今回は外側だけでなく、トタンの内側も塗りますので、倉庫内部も高圧洗浄しました。
外壁や屋根に使われるトタンは表面と裏面があるものがあります。表面は3回塗り仕上げということがほとんどですが、裏面は錆び止め1回塗りのみというものも多く、湿気が多い場所などでは室内側から腐食が進んでいくこともあります。裏面を塗装できるのであれば、それだけ耐用年数も上げられます。
ケレン作業・下地調整
張り替えられた時期が違うのでしょうか。錆が多く出ている部分とほとんど出ていない部分があります。ケレンで錆を落としていきます。鉄骨部分も塗装しますので、こちらも錆を削り落とします。
屋根塗装 トタン屋根にトタン外壁の平屋
平屋のトタン屋根の塗装の様子です。白い塗料は下塗り用の塗料で、こちらは錆止め効果のあるプライマーを使用しています。仕上げの中塗りと上塗りにはブラウンを使用しました。シリコン塗料を使用しています。
外壁・内壁塗装 瓦屋根にトタン外壁の2階建て
トタン外壁の2階建ての塗装を行います。こちらもまずは錆止め塗料を下塗りするところからはじめます。日本ペイントの弱溶剤形2液エポキシさび止め塗料「ハイポンファインプライマーⅡ」を使用しました。
倉庫内側の壁も塗っていきます。鉄骨ももちろん、塗っていきます。トタン外壁の表面と裏面、鉄骨とかなり塗る面積が多くなりますが、その塗装された分だけ保護される面積も大きくなるため、耐久性も上がります。
中塗りからはファインパーフェクトトップを使用します。現在、主流となりつつあるラジカル制御塗料で紫外線で劣化しづらいことが特徴です。錆止め塗料の赤錆色から一転して、クリーム色の外壁となりました。
シャッター塗装・鉄骨塗装
シャッターは「クリーンマイルドウレタン」のグレーで仕上げました。鉄骨の仕上げには「ファインSi」を使用しました。
ご近所やご家族にもクリーム色の外壁が気に入ってもらえたということで、良い塗り替えになったと思います。いつまでも建物を大切にしてあげてください。
竣工
ご近所やご家族にもクリーム色の外壁が気に入ってもらえたということで、良い塗り替えになったと思います。
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