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水性塗料と油性塗料の比較:外壁塗装に適した選択は?
更新日 : 2023年07月04日
更新日 : 2023年07月04日
最近の外壁塗装では、業者からよく水性塗料を勧められることが増えていると思います。以前は外壁塗装といえば主に油性塗料が使われていましたので、「水性塗料」と言われても、耐久性に不安を持たれるかもしれません。
・水性塗料は劣化が早いのではないか?
・水性という名前だけど、雨で流れ落ちたりしないのか?
・臭いが少ないのは良いことだけど…
今回は、業者がおすすめする水性塗料の選択について、外壁塗装での水性塗料と油性塗料のそれぞれの特徴やメリットを説明し、どちらを選ぶべきかを判断するポイントについて解説します。
水性塗料は水で希釈して使用する塗料
塗料を構成する成分
塗料は主に「樹脂」「顔料」「溶剤」という3つの成分から構成されています。塗装後、樹脂と顔料は塗膜となり、外壁を保護する役割を果たし、溶剤は揮発します。
さらに、これらの主要成分に加えて、ツヤや弾性などの機能を付加するための「添加剤」も含まれています。
「油性塗料」とは、樹脂を溶かして塗布しやすくするために、強い臭いのする有機溶剤(シンナー)で希釈して使用する塗料のことです。
一方、「水性塗料」は、シンナーではなく水で希釈して使用します。
主成分①:顔料
顔料は、塗膜を発色させるための成分です。エナメル塗料とクリア塗料に分類されます。
主成分②:樹脂
塗料のグレード(等級)や耐用年数に影響を与えるのが樹脂です。ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂など、さまざまな種類が存在します。
主成分③:溶剤
油性塗料は、有機溶剤であるシンナーで希釈しますが、水性塗料は水で希釈します。
添加剤
例えば、ツヤを抑えたい方はツヤ消しの添加剤を使用することができます。また、塗装の劣化を防ぐための防腐剤やカビの発生を防ぐ防カビ剤などもあります。さらに、塗装作業によるに気泡跡や液垂れを防止するための添加剤も存在します。また、色の均一性を保つための色別れ防止剤や、塗料をしっかりと外壁に密着させるために粘着性を高める添加剤も利用されることがあります。
水性塗料と油性塗料の違い
改めて、水性塗料と油性塗料の違いについて見ていきましょう。
先述の通り、最も大きな違いは塗料を希釈するために使用される溶剤が異なる点です。 油性塗料では塗料を溶かすためにシンナーをはじめとする有機溶剤が使用され、水性塗料では、水を使用して希釈します。綺麗な水であれば水道水で問題ありません。
塗装時には、シンナーなどの有機溶剤が揮発して塗膜が形成されます。その際、強い臭いが発生し、塗装工事中は周囲に不快な臭いを放つこともあります。さらに、臭いが消えるまでには数日かかることもあります。
水が蒸発して乾燥することで塗膜が形成されます。水の蒸発なので、油性塗料のように強い臭いは発生しません。そのため、周囲に大きな迷惑をかけることもなく、ご家族や塗装作業を行う職人にも配慮されています。
では、性能面にはどのような違いがあるでしょう。水性塗料と油性塗料の耐久性を比較すると、シンナーを含んでいる油性塗料の方が耐久性に優れている印象があると思います。
確かに、油性塗料の方が耐久性に優れていると言われています。これまで油性塗料が主流であった理由もそのためです。
しかしながら、塗料メーカーの技術進歩により、現在では油性塗料と水性塗料の耐久性に大きな差はなくなりました。
これまで、油性塗料は有機溶剤が人体に悪影響を及ぼす可能性があるという問題が指摘されてきました。そのため、塗料メーカーは水性塗料の開発に力を注いできました。その結果、油性塗料と水性塗料の性能差はどんどん縮まり、外壁塗装に水性塗料を用いるのが当たり前になりました。
現在、外壁塗装において主流となっているのは水性塗料です。
以前は、水性塗料が外壁塗装に用いられることはなく、油性塗料が必須でした。
しかし、昔の油性塗料は強い臭いがあり、嫌われ、管理や健康面でも問題が多かったのです。
水性塗料が初めて開発された当初は、油性塗料と比べて耐久性が低く、性能も劣っていたため、価格も安かったとされています。
しかし、最近では水性塗料の技術向上により、耐久性に優れた塗料が次々と市場に登場しています。
※出典:社団法人日本塗装工業会
長寿命な水性塗料
特に注目されているのが、ラジカル制御型塗料です。「ラジカル」とは、塗料の調色時に使用される酸化チタン(白色顔料)と太陽光に含まれる紫外線が科学反応して発生する物質で、塗料の樹脂成分や有機顔料を劣化させてしまいます。
ラジカル制御型塗料は、ラジカルの発生を抑制しつつ発生したラジカルを抑え込むことで樹脂の劣化を防ぎ、高い耐久性を実現しました。
耐久性の高い塗料だけではなく、低汚染性を持つ塗料などもあります。
低汚染塗料とは、汚れが付きにくく、落ちやすい構造をもった塗料のことです。汚れが付着しにくくなることで、藻や他の要因による損傷を防ぎ、塗膜の寿命を延ばすことに繋がります。
このように、水性塗料も品質が向上し、優れた塗料が次々と開発され、幅広い選択肢が提供されています。その性能は油性塗料と比較しても劣ることはありません。そのため、最近では塗装業者も積極的に水性塗料を推奨し、臭いや健康への懸念を考慮する方々も水性塗料を選ぶ傾向が増えています。
日本ペイント「パーフェクトトップ」
2012年に業界トップシェアの日本ペイントから発売され、戸建住宅60万棟分の販売実績を持つのが「パーフェクトトップ」です。この塗料は高い信頼性を持ち、外壁塗装においてスタンダードな水性塗料です。ラジカル制御型塗料であり、美しさを長持ちさせるため、コストパフォーマンスにも優れています。シリーズ製品には。バラの香りが漂う「パーフェクトトップローズ」もラインアップしています。
エスケー化研「エスケープレミアムシリコン 」
エスケー化研が提供する水性塗料の中では代表的な製品です。この塗料は、ラジカルを徹底的に抑制し、さらに超耐候性を持つ特殊なハイブリッドシリコン樹脂を使用することで、従来のシリコン系塗料よりも優れた耐候性を実現しています。仕上がりは、滑らかで光沢のある塗膜を形成します(つや消しも選択できます)。
油性塗料の様に臭わない
水性塗料の最大の利点は、強いシンナー臭がしないことです。油性塗料は乾燥する際にシンナーが揮発することで強い臭いが発生しますが、水性塗料は水が蒸発するだけなのでほとんど臭いがありません。ただし、完全に無臭というわけにはいかず、独特の臭いはあります。
引火のリスクが低く安全性が高い
水性塗料は、シックハウス症候群や大気汚染の原因となる揮発性有機化合物(VOC)を排出せず、室内環境基準フォースター(F☆☆☆☆)に適合する製品が多く存在します。油性塗料と異なり、シンナーを含まないため火災のリスクもありません。引火の危険性が低いため管理も容易であり、保管場所や施工場所に神経質になる必要がなく、塗装業者としても扱いやすい塗料です。
さらに、水性塗料は使用した道具を水で洗浄することができるため、安全で使いやすいと言えるでしょう。
※環境省 水・大気環境局 大気環境課 すぐにできるVOC対策より一部参照1液型塗料が多く、取り回しに優れている
水性塗料、油性塗料に関わらず、1液型・2液型という分類があります。☑ 1液型…塗料缶が1つで、そこに希釈剤を混ぜて使用するタイプ
☑ 2液型…塗料缶が2つあり、主剤と硬化剤に分かれている
2液型の場合、塗装を行う直前に主剤と硬化剤を混ぜ、それから希釈する必要があります。したがって、混合したらすぐに使用しなければなりません。
水性塗料は1液型塗料であることが多く、混合の手間がなくすぐに使用することができるため、非常に便利です。塗装作業を行う職人としても取り扱いが容易であり、無駄がありません。
油性塗料よりは耐久性が低い
使い勝手が良く、臭いも気にならず、安全性が高いという利点がある水性塗料ですが、デメリットも存在します。先程説明した通り、水性塗料の性能も油性塗料に近づいていますが、相対的に見れば油性塗料には劣る点が多いです。ただし、全体的には水性塗料の方が若干安価であり、水性塗料と油性塗料もグレードと価格が比例していると言えるでしょう。
おすすめできる水性塗料も豊富にありますから、どうしても耐久性に不安があるという方はご相談ください。
乾きにくく、天候に左右されやすい
水性塗料の乾燥時間は、油性塗料に比べると施工当日の天候に左右されやすいというデメリットがあります。油性塗料のように揮発しないため、気温や湿度の影響が大きく、水性塗料は乾きにくいと言えます。特に寒冷地の冬など、気温が低い場所では乾燥に時間がかかります。また、湿度が高くて快晴の日が少ない地域でも、乾燥にはやや時間がかかるでしょう。
なお、雨が降ってしまえば水性塗料・油性塗料に関係なく乾燥に影響を及ぼします。
水性ということは、水に溶けだす?
水で希釈する水性塗料は、雨などで溶けだしてしまうのでは?と心配される方もいらっしゃいますが、心配はいりません。乾燥すると油性塗料と同様の仕上がりとなり、塗膜は雨を弾きます。ただし、塗装工事中に雨が降ってくると、まだ乾いていない塗膜に影響が出る可能性があるため、注意が必要ですが、経験豊富な塗装業者であれば天候を考慮した上で作業を進めていくため、ほとんど問題は発生しません。
外壁には水性塗料、屋根には油性塗料を推奨
外壁塗装では水性塗料が主流になりつつあることが分かりましたが、屋根塗装の場合も同じでしょうか?どちらも屋外に位置し、常に強い紫外線や雨風にさらされていますが、屋根は建物の中でも最も紫外線が当たる場所であり、外壁よりも過酷な条件下にあります。
したがって、屋根塗装を行う際には、強い紫外線や高温に耐えることができる油性塗料が最適です。油性塗料の強い臭いも上方に拡散されるため、そこまで影響はありません。屋根は日中絶えず紫外線にさらされる過酷な条件下にあるため、油性塗料を使用して対処することがおすすめです。一方で、きつい臭いや健康への悪影響、近隣への影響を避けるために外壁塗装には水性塗料を使用すると良いでしょう。
金属への塗装も油性がおすすめ
水性塗料には乾きにくいというデメリットがあります。これは当然のことですが、水の蒸発速度とシンナーの揮発速度を比べると、水の方が遅いからです。したがって、窯業系サイディングやモルタルなどの水分を吸収しやすい素材には良く馴染み、密着性も高まります。
ただし、アルミやステンレス、鋼板などの金属系素材には密着しにくい性質がありますので、雨樋や破風板、軒天などの付帯部分に直接塗装することは適していない場合もあります。
そのような場合は、適切な下地処理を行った後に油性の下塗り剤を使用することで、水性塗料を問題なく利用することができます。
また、金属素材にも塗装可能な水性塗料が開発・販売されています。
日本ペイントの「水性ファインSi」は、鉄部の塗装も可能なオールラウンド型の水性塗料です。この塗料は鉄製の素材だけでなく、他の金属系やコンクリート素材にも広範囲に対応しています。
水性塗料では品質が不安という方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。塗料メーカーの改良により、現在では耐久性の高い水性塗料が数多く存在します。実際に、水性塗料は低臭で安全性が高く、環境や人体に優しい塗料と言えます。
「塗料の臭いが気にならないものが良い」「汚れにくくて長持ちする塗料を探している」
外壁塗装に関するご要望やお悩みがあれば、私たち街の外壁塗装やさんへご相談ください。お客様のご希望に合った塗料や最適な工事プランを提案いたします。
点検やお見積もりは無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
水性塗料と油性塗料の比較:外壁塗装に適した選択は?まとめ
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水で希釈する塗料が「水性塗料」、有機溶剤で希釈するのが「油性塗料」
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有機溶剤を使用しない水性塗料は強い臭いがありません
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油性塗料の方が耐久性が高いですが、遜色ない耐久性をもつ水性塗料も販売されています
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紫外線の影響が特に強い屋根は、油性塗料での塗装をおすすめします
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下地処理や下塗り塗料を工夫することで、金属素材でも水性塗料で塗装できます
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現在の外壁塗装では主流となっているのは水性塗料です。ご心配な点があれば、お気軽にご相談ください
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